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「お持てなし」考2

新聞等によると出雲学、長崎学、山形学といった地元の「地域学」を学ぶことが盛んであるらしい。この地域学とは地域の自然、人、事象などを学ぶことによって、個々人が郷土観を確立し、ひいては地域活性化や地域づくりへの動機付けを行っていこうとするものとのこと。鳥取因幡でも郷土出身の文化人や郷土の歴史・文化について学ぶ機会を行政や大学等教育機関、民間団体が多々提供している。どうやらこの鳥取でも「鳥取因幡学」なるものを構成する要素はたくさんあるようだ。

学生時代を思い起こせば、時折夜を徹して飲みながら自らの郷土自慢をする機会があったのだが、やはり長州(山口)とか薩摩(鹿児島)、肥後(熊本)出身の輩は元気がよかった。地元に自信をもっているのである。子どもの頃、歴史の表舞台にたっている名だたる偉人のことを親などの大人から繰り返し聞かされているのだろうと感じた。しかもそれが一人や二人の話しでなく、そういった影響を受けた人がそれをまた次の代に伝えて、地域全体から言えばものすごい多人数の分厚い層となり、それぞれが地域への誇りを語っている。それはすさまじい程の地域アイデンティティの強さを形作る。
こういった地域には長州学、薩摩学、肥後学などと改めて興す必要が無いのかもしれない。なぜならたくさんの地域の人々が地域を誇りに思っているのだから。

観光とは観光地を巡ることなのか?それも観光であるが本旨ではない。
本当は今も地域に根付く”地域らしさ”に触れに行くのであろう。その”地域らしさ”とはその地域の人たちから発せられる地域への愛着や誇りであろう。(これは05所信にかいてあります。)

話しは戻り、I氏のガイドは非常にすばらしいものであった。誤解を恐れずにいうとそれは毒舌な部分やユニークな話しだけではない。その中身が非常に素晴らしかった。来てもらった方に本当に鳥取を知ってもらいたいというようなガイドをされ、ありのままを伝えられたと感じている。
私は昨年の県博で行われたI氏の写真展で近世店屋考アーティストインプレッションに参加をして、氏の40年に渡るライフワーク、四季を通じて鳥取の風景、人物を写真におさめられている状況を聞く機会に恵まれた。I氏は鳥取のいいところ悪いところすべて知っておられる。おそらく現在、”鳥取学”なるものもしくは”鳥取のアイデンティティ”を体得しておられる数少ない方だと確信している。

鳥取のことを体得している人、鳥取学に通じている人、鳥取のアイデンティティを話せる人が鳥取因幡のことをありのまま、楽しく伝えること。=これが観光客に対しての「お持てなし」であると思う。・・・続く